可愛い子には旅をさせよ
お子さんと関わる中で、つい先回りしてしまうことってありますよね。
転ばないように。
困らないように。
傷つかないように。
大切だからこそ、自然と手を伸ばしてしまう。
それは、とてもあたたかい愛情だと思います。
そんなことを考えていると、ふと「可愛い子には旅をさせよ」ということわざが頭に浮かびました。
ここでいう“旅”とは、ただ遠くへ行くことではなく、子どもにとって少し勇気のいる挑戦のことなのだと思います。
うまくいかない経験や、人とのすれ違い、自分で考える時間。
そうした一つひとつが、子どもにとっての大切な成長の機会になります。
もちろん、突き放すことでもありません。
ただ、すべてを整えてしまうと、「自分でやってみる」という経験が少なくなってしまいます。
以前、こんなことがありました。
ある休日、お店に入ろうとしたときのことです。
前から、お母さんと2~3歳くらいのお子さんが歩いてきました。
その子がふと転んでしまったのです。
思わず私のほうが「大丈夫かな」と身構えました。
でも、お母さんはすぐに駆け寄ることも、大きな声をかけることもありませんでした。
少し離れたところから静かに見守っていたのです。
すると、その子は自分で立ち上がり、また歩き出しました。
泣くこともなく、何事もなかったかのように。
その姿を見て、「信じている関わりって、こういうことなのかもしれない」と感じました。

子どもは、うまくいかない経験の中でこそ多くを学びます。
どうすればよかったのかを考えたり、もう一度やり直してみたり、ときには誰かに助けを求めたり。
その過程そのものが、考える力や選ぶ力、そして立ち直る力を育てていきます。
もし私たちが先回りして答えを渡してしまうと、「失敗しない方法」は身につくかもしれませんが、「失敗から立て直す力」を育てる機会は少なくなります。
困る経験があるからこそ、「どうしたらいい?」と周囲に助けを求めることも覚えていきます。
それは、将来人とつながりながら生きていくための大切な力でもあります。

見守るということは、何もしないことではありません。
子どもが自分で一歩踏み出せるように、そっと後ろに立つこと。
転びそうなときにすぐ抱き上げるのではなく、「どうする?」と問いかけながら支えること。
そして、挑戦が終わったときに、結果ではなく過程ごと受け止めることです。
子どもにとって、私たちが安心して戻ってこられる場所であり続けること。
“小さな旅“から帰ってきたときに「どうだった?」と聞ける関係があるからこそ、子どもはまた次の一歩を踏み出せます。
うまくいかなかった経験も、振り返りの時間となる。
そうして少しずつ、「自分で考えられる自分」になっていきます。
見守るとは、信じて待つ勇気。
そして、戻ってきたときに全力で受け止める覚悟なのかもしれません。
子どもが安心して挑戦できるのは、失敗しても帰ってこられる場所があると知っているから。
その場所であり続けることが、私たち大人の大切な役割なのだと思います。
(平石)
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