「姿勢が保てない」ってどういうこと?~姿勢を支える身体の仕組み~
「姿勢よく座りましょう」
「もう少し姿勢を保てるといいですね」
子どもの支援をしていると、「姿勢」という言葉をよく耳にします。
では、そもそも私たちはどうやって姿勢を保っているのでしょうか?
「姿勢を保つ」というと、背筋を伸ばして、体幹の筋肉をしっかり使っているイメージがあるかもしれません。
もちろん筋力も大切な要素のひとつです。
でも、実は姿勢を保つためには、筋力だけではなく、目や身体から入ってくるさまざまな情報を使って、脳が身体の状態を把握し、それに合わせて身体を調整することが必要です。
〇私たちは「身体がどうなっているか」を感じている
例えば、目を閉じていても、「今、自分は座っている」ということはなんとなく分かりますよね。
それは、筋肉や関節、皮膚などから、
「身体がどのくらい曲がっているか」
「どこに力が入っているか」
「身体がどちらに傾いているか」といった情報が脳に送られているからです。
さらに、目から入る情報や、頭の動き・身体のバランスを感じる感覚なども使いながら、脳は「今、自分の身体がどんな状態なのか」を捉えています。
つまり、私たちは普段意識していなくても、身体の状態を感じながら姿勢を保っているのです。
〇姿勢を保つために、身体はずっと微調整している
そして、姿勢を保つことは「じっとしていること」でもありません。
例えば、机の上にあるコップを取ろうとして腕を伸ばすとき「腕を伸ばすと身体が前に引っ張られるから、今からお腹に力を入れて……」なんて考えてはいませんよね。
それでも私たちは、腕を動かすのと合わせて、身体が大きく傾かないように自然と姿勢を調整しています。
実は、身体は動く前から「この動きをしたら身体がどうなるか」をある程度予測し、それに合わせて姿勢を準備しています。
また、予想していなかった揺れや、誰かに軽くぶつかられたときには、「今、身体が傾いた!」という情報を受け取って、姿勢を立て直します。
このように私たちの身体は、
感じる → 考える・予測する → 身体を動かす → また感じる
ということを繰り返しながら、姿勢を調整しています。

〇「姿勢が保てない=体幹が弱い」ではない?
では、子どもが「姿勢を保つことが苦手」という場合はどうでしょうか。
もちろん、筋力や持久力が関係している場合もあります。
しかし、それだけが理由とは限りません。
身体の位置や動きを感じること、目から入る情報を使うこと、バランスを感じること、それらの情報を脳で整理すること、そして必要な筋肉を適切なタイミングで働かせること。
姿勢保持には、こうしたさまざまな働きが関係しています。
そのため、「姿勢が崩れやすい=体幹が弱い」とすぐに結びつけるのではなく、
「身体の状態を感じ取りやすいかな?」
「周りの情報が多すぎて姿勢に注意を向けにくくなっていないかな?」
「今の姿勢を保つために、どのくらいの力が必要なのかな?」など、
いろいろな視点からその子の様子を見ていくことが大切です。
〇「姿勢」を少し違う角度から見てみる
「姿勢が悪い」と聞くと、つい「背筋を伸ばす」「きれいに座る」ということに目が向きます。
でも、本来の姿勢保持は、単に背筋を伸ばしてじっとしていることではありません。
自分の身体が今どうなっているのかを感じ取り、そのときの状況に合わせて身体を調整すること。
そう考えると、「姿勢が保てない」という子どもの姿も、少し違って見えてくるかもしれません。
普段何気なく「座る」「立つ」「歩く」といった動作をしていますが、その裏側では、目や身体から入ってくるさまざまな情報をもとに、脳と身体が細かな調整を繰り返しています。
「姿勢を保つ」という一見シンプルな動作も、実はたくさんの感覚や身体の働きによって支えられているのです。
今回は、そんな「姿勢保持」の仕組みについて、少し掘り下げてご紹介しました。
(平石)
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